長野大学 淡水生物学研究所
Hiroshi Hakoyama
長野大学 淡水生物学研究所
淡水生物学研究所は、優れた淡水研究施設を有効に活用しつつ、地域の自然及び生物資源を対象にして生態学・統計数理学(生物統計学と数理生物学の融合)を中心とした学際領域の教育、研究及び産学官連携研究プロジェクトを実施するとともに、全国・アジア地域の内水面資源・淡水生物学の研究ネットワーク拠点となることを目的としています。
上田市小牧に位置する淡水生物学研究所の施設は二つの研究棟を中心に、千曲川の河川水を取水する実験用の73の野外池、自然豊かな水路等の水辺の環境、井戸水による室内実験飼育施設(51のFRP水槽)、大規模なウェットラボなどからなります。設備としては、次世代シーケンサー (NextSeq 550)など先端の研究機器を有しています。
淡水生物学研究所では、施設・設備を十分に活用し、(1)千曲川流域の自然を対象にした研究、(2)国際・全国研究教育ネットワーク拠点、(3)施設を利用した生物学の先端研究や増養殖技術の振興の3つを中心とした活動を特色として研究を進めています。
組織は、所長(教授)以下、准教授1名、客員准教授1名、研究支援員3名、技術補佐1名、事務長1名、主事1名、事務員1名の計10名の職員で構成されています。
Institute Members
Hiroshi Hakoyama
研究所のメンバー
現在、研究所は10名のスタッフで構成されています:

旧メンバー:
占部城太郎: 東北大学大学院生命科学研究科
阿部貴晃: 東京大学大気海洋研究所 -> 日本大学
谷口昇志: 農業・食品産業技術総合研究機構
Angel Faye Manwong: Angeles University Foundation
Ayu Daryani: SEAFDEC/IFRDMD -> Ghent University
池谷道英: 長野大学地域づくり総合センター
Yannick Rousseau: IMAS, University of Tasmania
松井知美: 筑北村
Alessandra Cera: University of Vienna | UniWien
中村 宏: 上田市
Main research projects currently underway
Hiroshi Hakoyama
現在進めている主な研究の紹介
淡水生物学研究所では、施設・設備を十分に活用し、(1)千曲川流域の自然を対象にした研究、(2)ドイツ、アジア-パシフィックを中心に国際・全国研究教育ネットワーク拠点、(3)施設を利用した生物学の先端研究や増養殖技術の振興の3つを中心とした活動を特色として研究を進めています。現在のところ具体的には外部資金を中心に次のような活動しています。
千曲川再生に向けた河川生態学的研究.
生態学・情報科学と河川工学等を組み合わせた学際的アプローチで淡水生物学研究所に所属する研究者と河川管理者が、千曲川流域をフィールドとした学官共同研究を行い、今後の河川の整備や管理の高度化・合理化及び河川環境の向上に貢献します(国土交通省、河川砂防技術研究開発地域課題)
ニホンウナギの資源学的研究 (ニホンウナギユニット).
ウナギ資源の動向把握・絶滅リスク・池入れ管理について、数理モデルを枠組みの中心に、漁獲量・集団遺伝・衛星タグ回遊調査をデータとして、管理手法の開発と分析を行います(水産庁事業費)
動物の個性の研究.
動物にも遺伝や環境の違いからさまざまな個性があります。また、大胆な個体は攻撃的であるなど、形質の間の相関も見られ行動シンドロームと呼ばれています。遺伝と環境を厳密にコントロールし、混合効果モデルなどによる精緻な統計分析をすることで、動物の個性のパターンを適応的な観点から解き明かそうとしています。
フナ類の有性型と無性型の共存に関する研究.
地域特産のフナの資源減少に着目し、研究室の池や実験施設を活用し、フナの個体群動態や遺伝子交換のメカニズムを研究することで、フナの共存の仕組みを解明します。
外部競争研究費
Hiroshi Hakoyama
外部競争研究費獲得実績
2019–2025年度 淡水生物学研究所の競争研究費獲得実績は総額約6億8000万円(長野大学に直接経費3億9,260万円、間接経費7,724万円)
総額
| 年度 |
水産庁委託費(万円) |
水産庁補助金(万円) |
国交省(万円) |
合計(万円) |
| 2019 |
14,707 |
2,892 |
|
|
| 2020 |
5,913 |
2,314 |
|
|
| 2021 |
5,963 |
2,314 |
500 |
|
| 2022 |
4,641 |
2,314 |
1,487 |
|
| 2023 |
4,780 |
2,314 |
1,487 |
|
| 2024 |
4,328 |
2,314 |
1,487 |
|
| 2025 |
5,228 |
1,851 |
1,487 |
|
| 合計 |
45,560 |
16,313 |
6,448 |
68,321 |
長野大学配分
| 年度 |
水産庁委託費(万円) |
水産庁補助金(万円) |
国交省(万円) |
合計(万円) |
| 2019 |
10,023 |
1,617 |
|
|
| 2020 |
2,806 |
1,529 |
|
|
| 2021 |
3,839 |
1,529 |
142 |
|
| 2022 |
3,565 |
1,565 |
930 |
|
| 2023 |
3,622 |
1,668 |
1,144 |
|
| 2024 |
3,275 |
1,841 |
1,144 |
|
| 2025 |
4,086 |
1,521 |
1,144 |
|
| 合計 |
31,216 |
11,270 |
4,504 |
46,990 |
2019年度からの6年間、淡水生物学研究所の外部競争資金獲得額は長野大学全体の外部競争資金獲得額の約74%(2019-2024年度の長野大学への配分額の平均)、研究費総額は設置自治体から長野大学への運営費交付金の約39%にあたります(2019-2023年度の研究費総額の平均)。淡水生物学研究所の研究員と研究支援員はすべて外部競争資金で雇用されています。一般管理費は研究所の光熱費の約90%をカバーし、間接経費は下之郷キャンパスの契約職員の雇用費などに使われています。
沿革
Hiroshi Hakoyama
沿革
2018年
- 12月6日:土屋陽一市長と長野大学の面談(大学側資料1)
- 12月10日:土屋陽一市長と長野大学の面談(大学側資料2)
- 12月28日:市として旧中央水産研究所上田庁舎の長野大学での活用方針を決定
2019年
- 4月:長野大学が旧中央水産研究所上田庁舎を水研機構から賃貸
- 4月:長野大学附属千曲川流域環境・水産研究所(仮称)開設準備室設置
- 4月:水産庁国際資源研究事業(ウナギユニット)採択・開始。淡水生物学研究所がリーダーとなって全国35の試験研究機関と大型研究プロジェクトを開始
- 5月:長野大学附属千曲川流域環境・水産研究所(仮称)開設準備室準備室設置規程
- 5月:長野大学附属千曲川流域環境・水産研究所(仮称)開設準備室管理運営規程
- 5月:長野大学附属千曲川流域環境・水産研究所(仮称)開設準備委員会設置規程
- 5月:長野大学毒劇物等取扱規程 開設準備室から提案
- 7月25日:2019年度第1回研究所開設準備委員会
- 7月29日:東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)と長野大学が研究・教育に関する包括連携(MOU)を締結
2020年
2021年
- 4月1日:長野大学淡水生物学研究所開所
- 4月:公募により助教を採用(専門分野:行動生態学 / 生態学 / 水産資源学 / 個体群生態学)
- 4月:国土交通省河川砂防技術研究開発・河川生態FS採択(千曲川研究グループを組織)
- 7月30日:関東財務局より9500万円で長野大学が国有財産である旧中央水産研究所上田庁舎を取得。今後10年間は、長野大学と国との間の売買契約書に定めた利用計画に記された指定用途「淡水域の生物学・生態学に関する教育研究」に供する為にのみ活用する条件での売買契約である
- 11月15日:開所式
2022年
- 4月:国土交通省河川砂防技術研究開発・河川生態一般研究採択。千曲川研究グループによる5年間のプロジェクト研究の開始
- 4月:第1回IFBセミナー
- 10月:長野大学教養課程授業「生態学」の開講 260名登録
2023年
- 4月:淡水生物学研究所運営委員会の設置(委員長:箱山 洋;委員:早坂 淳、高橋一秋、松永伸太朗、児玉紗希江、池谷道英)
- 5月:第1回淡水生物学研究所運営委員会(以降毎月開催)
2024年
長野大学による施設取得以前の施設の歴史
1897年
- 農商務省、水産講習所を東京市芝区三田四国町2番地(水産伝習館跡)に設置。
1920年
- 農林省、長野県北安曇郡平村(現大町市)木崎湖畔に水産講習所木崎養魚試験場を設置し、ます類の養殖試験を始める。
1929年
- 4月:農林省、水産講習所の試験部と調査部を分離して、東京市深川区越中島に農林省水産試験場を設置。木崎養魚試験場廃止、農林省水産試験場木崎分場となる。
1939年
- 5月:上田市より敷地、長野県より試験池その他の工作物並びに建物等の設備の寄付を受けることとなり、農林省は、上田市小牧地籍に中流河川利用養殖試験遂行の基地を作ることを決定。
- 9月:建設着工。農林省水産試験場上田試験地設定。
- 14年:木崎分場廃止。
1940年
- 3月:元木崎分場より移築の官舎2棟及び倉庫1棟、元豊橋分場より移築の温室1棟竣工。
1941年
- 4月:所定の工事が概ね竣工し、長野県及び上田市より寄付採納願が提出される。元木崎分場、元豊橋分場より種苗を移植し、試験業務を開始。
- 11月:上田試験地、上田分場と改称。
1942年
1948年
- 9月:日本水産学会昭和23年度大会開催 参加者101名。
1949年
- 国の試験研究体制の改変に伴い、農林省水産試験場は閉鎖され、水産庁海区制水産研究所が、全国8カ所に設置される。この一つとして、東海区水産研究所及び淡水区水産研究所が東京都中央区月島3号地(現中央区勝どき5-5-1 旧水産試験場本場跡)に設置。農林省水産試験場上田分場は、淡水区水産研究所上田支所となり、2研究室、庶務係が設けられた。
1953年
- 淡水区水産研究所が、東京都南多摩郡日野町宮399番地(現日野市宮399番地)に移転。
1956年
- 5月:千曲川取水に関する取り決め覚書(甲:淡水区水研 乙:上田市,六ヶ村堰土地改良区)。
1957年
1963年

1971年
1972年
1973年
- 「農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究」開始(52年度まで)。
1978年
1979年
- 淡水区水産研究所が廃止され、水産庁養殖研究所が、三重県度合郡玉城町昼田224-1に設置。
- 淡水区水産研究所上田支所は、東海区水産研究所上田庁舎となり、陸水部2研究室、総務分室が設けられ、陸水部1研究室が、東海区水産研究所勝どき庁舎に設けられた。
1981年
- 公害防止研究「有機性汚泥の環境保全的評価及び農林業への利用に関する研究」開始(60年まで)。
1989年
- 水産庁東海区水産研究所が、水産庁中央水産研究所となるに伴い、上田庁舎は、中央水産研究所上田庁舎となり、内水面利用部2研究室、総務分室が設けられ、内水面利用部1研究室が、中央水産研究所勝どき庁舎に設けられた。
1990年
1992年
1993年
1994年
1995年
- 7月:重点基礎「アユの産卵における情報化学物質による個体間相互作用の解明」(単年度)。
- インターネットとの接続。
1996年
1998年
2001年
- 4月:水産庁研究所は独立行政法人水産総合研究センターに統合され再出発。
2002年
- 4月:水産庁 ブルーギル食害等影響調査(2002-2006)。
2004年
- 4月:中央水産研究所内水面利用部から内水面研究部へ名称変更。
2005年
- 4月:文部科学省 生物保全における棲息環境のデザイン-メタ個体群の持続可能性を中心に。(2005-2006)。
2006年
- 4月:環境省 地球環境研究費、在来淡水魚保全の為の生息地ネットワーク形成技術に関する研究。(2006-2008)。
2007年
- 4月:農林水産技術会議 カワウによる漁業被害防除技術の開発 (2007-2009)。
- 水産庁 外来魚抑制管理技術開発事業 (2007-2011)。
2008年
- 4月:文部科学省 フナ類の有性・無性型の共存機構の解明。基礎研究©, 20570029, (2008-2012)。
- 11月:日本水産学会中部支部大会事務局、21, 2008-11-21、カワウシンポジウム上田温泉ホテル祥園。
2011年
- 4月:中央水産研究所上田庁舎は増養殖研究所上田庁舎へ組織改編により名称変更。
2013年
- 4月:水産庁 生物多様性に配慮した漁業推進事業。(2013-2015)。
- 4月:河川整備基金, 河川財団 ウナギの河川生息域の環境収容力と減少原因:漁獲データからの分析。
2016年
- 4月:増養殖研究所上田庁舎は中央水産研究所上田庁舎へ組織改編により名称変更。
- 12月:上田庁舎閉庁の方向性が経営企画会議で決定。
2019年
- 3月:上田庁舎閉庁。
- 4月:長野大学が上田庁舎を水研機構から賃貸して活用開始。
支出額
Hiroshi Hakoyama
光熱水費支出額
財源ごとの支出額
| 年度 |
水産庁委託費(万円) |
水産庁補助金(万円) |
交付金(万円) |
| 2019 |
269.4 |
172.8 |
42.0 |
| 2020 |
334.9 |
182.9 |
52.1 |
| 2021 |
454.5 |
180.9 |
50.0 |
| 2022 |
512.5 |
224.8 |
59.8 |
| 2023 |
398.9 |
184.0 |
45.2 |
| 2024 |
396.5 |
221.5 |
54.1 |
全体支出額(万円)
| 項目 |
2019 |
2020 |
2021 |
2022 |
2023 |
2024 |
| 電気 |
373.4 |
445.5 |
535.8 |
650.9 |
483.1 |
526.0 |
| ガス |
0.8 |
1.3 |
0.9 |
1.2 |
0.9 |
0.9 |
| 上下水道 |
26.7 |
38.8 |
36.3 |
31.2 |
26.4 |
24.3 |
| インターネット |
7.0 |
7.2 |
7.2 |
7.2 |
7.2 |
7.2 |
| 排水処理 |
76.3 |
77.0 |
77.0 |
77.0 |
77.0 |
77.0 |
| 電話 |
0.0 |
0.0 |
28.4 |
25.7 |
26.9 |
27.3 |
| 灯油 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
3.9 |
6.7 |
9.3 |
| 合計 |
484.3 |
569.9 |
685.5 |
797.0 |
628.2 |
672.0 |