小牧自治会の見学会を行いました!
2025年7月31日(木)、小牧自治会から22名の方が参加した淡水生物学研究所の見学会を行いました。まず、研究所の取り組みと千曲川生態研究について箱山 洋教授からプレゼンがあり、後半は施設見学の運びとなりました。比較的涼しく野外施設の見学によい日和となりました。
2025年7月31日(木)、小牧自治会から22名の方が参加した淡水生物学研究所の見学会を行いました。まず、研究所の取り組みと千曲川生態研究について箱山 洋教授からプレゼンがあり、後半は施設見学の運びとなりました。比較的涼しく野外施設の見学によい日和となりました。
2025年7月26日、27日、長野大学淡水生物学研究所の児玉 建研究員が、KBC九州朝日放送の取材を受けました。学生時代の研究を紹介するとともに、福岡県の公園や山地、渓流などを訪れ、生息するセミ類の生態について解説しました。
取材の様子は、KBCにて2025年7月28日放送の夕方ワイド情報番組「ぎゅっと」内にて放送されます。
淡水生物学研究所と信州大学工学部飯尾研で流水チャンバーでウナギの遊泳コストの分析をする共同研究を開始しました。この研究では水産庁の国際資源ウナギユニットの補助研究事業で取り組んでいる下りウナギの人工衛星タグによるトラッキングに関する研究に関連して、人工衛星タグの装着の影響や遊泳コストを流水チャンバー内を遊泳するウナギを用いて調べます。人工衛星タグを装着したウナギをチャンバー内で泳がせることで、タグの脱落のパターンやウナギの遊泳パターンなど中長期の影響を観察することができます。
2025年7月25日、信州大学工学部飯尾昭一郎准教授と研究室メンバーが訪問し新たに開発した流水チャンバーを設置し、ウナギのテスト遊泳を行いました。
ウナギの人工衛星タグを用いたトラッキングの研究は、水産庁の国際資源ウナギユニットの補助研究事業として、長野大学淡水生物学研究所が中心となって、九州大学、信州大学、宮崎県、熊本県が協力して行っています。
長野大学淡水生物学研究所 ifb@nagano.ac.jp TEL: 0268-22-0594 FAX: 0268-22-0544 箱山 洋
淡水生物学研究所の Huỳnh Quang Thiện 研究員らによる学術論文が、国際誌 Check List に掲載されました。
本研究では、ベトナム中部・フーイエン省における淡水魚類の分布に関する新たな知見として、Pseudohemiculter 属の分布南限の更新と、P. dispar のベトナム国内での新たな生息地を報告しています。
これらの発見は、同地域における淡水魚類の生物多様性の理解を深める重要な成果であり、今後の保全施策や水産資源管理への貢献が期待されます。
論文情報
Ty Minh Nguyen, Xuan Bach Nguyen-Le, and Thien Quang Huynh.
On the southernmost record of fish genus Pseudohemiculter Nichols & Pope, 1927 and new record of P. dispar (Peters, 1881) (Cypriniformes, Xenocyprididae) from Phu Yen Province, Vietnam. Check List, 21(4): 666.
DOI: https://doi.org/10.15560/21.4.666
2025年7月13日(日)、野尻湖畔のグリーンスポーツクラブ(GSC)前の砂浜で第3回「野尻湖水辺の生き物観察会」が田中克さん(京大名誉教授)らの主催で行われ、箱山 洋教授が特別ゲストで参加しました。採集によって採れたニホンウナギやウグイなどを同定することで、数十人の参加者が野尻湖の水辺の生き物を学び、また水遊びを楽しみました。野尻湖では放流したニホンウナギが大きく育つことで知られています。
2025年7月12日(土)13:30-16:30に信濃町総合会館において、一般社団法人野尻高原大学村(田中克京都大学名誉教授)の主催で「ウナギの"想い"を探る野尻湖シンポジウム」という公開シンポジウムが行われ、長野大学淡水生物学研究所の箱山 洋教授が「ニホンウナギの産卵海遊トラッキング」というタイトルで講演を行いました。シンポジウムは、80名近い人が集まり、3人の講演者がニホンウナギの資源管理・保全への取り組みに関するさまざまな話題について講演を行いました。
プログラム:
写真:尾嵜豪氏
令和7年7月7日に、長野大学淡水生物学研究所の研究成果として、ウナギ属の遺伝集団構造に関するメタ解析についての学術論文が、国際学術誌Fish and Fisheriesに掲載されました(https://doi.org/10.1111/faf.70007]。
アメリカウナギ属(Anguilla)の遺伝構造に関する66件の研究をレビューし、ペアワイズの遺伝的分化指標(FST等)の平均値と標準偏差を抽出してメタ解析を実施
Anguilla marmorataを除き、ほとんどのAnguilla種でパンミキシア(全個体が自由に交配する単一集団)の仮説が支持されたが、一部の種は未解明部分が多く、今後の研究が必要とされた
遺伝マーカーの種類、分化指標の種類、サンプルサイズ、サンプリング範囲が遺伝的分化の検出結果に与える影響をメタ回帰で検討し、今後の研究の改善点としてサンプル数とサンプリング地域の代表性確保が重要と提言
ウナギ属は世界各地の河川や海域に広く分布し、食文化や経済において重要な水産資源として位置づけられています。特に日本産ウナギ(Anguilla japonica)は、その資源価値の高さから国内外で漁獲量の減少が深刻な問題となっています。ウナギ資源管理の根幹には、「個体群が複数の分集団に分かれているのか、あるいは国や地域を越えて単一の集団として共有されているのか」という集団構造の理解が不可欠です。
本研究は、過去に発表された複数の遺伝学的研究の結果を統計的に総合・分析するメタアナリシス手法を用い、ウナギ属(Anguilla)における遺伝的集団構造がパンミクシア(単一集団)であるかどうかを体系的にレビューし、統計検定することを目的としました。これにより、淡水ウナギ資源管理の科学的基盤の強化を図ります。
国内外で発表された66件の関連論文を対象に、集団遺伝構造の指標であるFST値などを抽出し、synthesize(統合効果の推定)とheterogeneity(異質性の検定)に関してメタ解析を実施しました。解析には、遺伝マーカーの種類やサンプル範囲の広さなどの要因を考慮しました。
解析の結果、ウナギ属のほとんどの種は遺伝的に混合した単一集団(パンミクシア)であることが確認されました。特に日本産ウナギ(Anguilla japonica)は、国内外の河川や沿岸域にまたがる全分布域で単一の資源として管理可能であることが示されました。一方で、オオウナギ(Anguilla marmorata)は地域ごとの遺伝的差異が明瞭であり、分集団が存在する可能性が示されました。さらに、熱帯域に分布するウナギ種では研究数が少なく、地域差を示すデータの不足も明らかとなりました。また、遺伝的差異の検出には代表的かつ広範なサンプリングが不可欠であることも指摘しました。
本研究は、国際的に権威ある学術誌「Fish and Fisheries」に掲載され、ウナギ属の遺伝的集団構造に関する理解を深める重要な科学的成果となりました。特に、パンミクシアが確認されたことで、ウナギの資源管理を国際的な単一資源として行うための科学的根拠が強化されます。今後は、研究不足が指摘された熱帯ウナギ類の遺伝的多様性や分布変動の解明、環境DNA等の新技術を活用した大規模調査が期待されます。また、気候変動による分布拡大の可能性も踏まえた継続的なモニタリングが求められます。
長野大学淡水生物学研究所は、水産庁予算による大型プロジェクト研究の中核機関として、ニホンウナギをはじめとするウナギ資源の持続的利用と保全に向けた研究を推進しています。国際的な連携も視野に入れつつ、絶滅リスク評価、遺伝的多様性の解析、ウナギの産卵海遊を人工衛星タグによるトラッキング、黄ウナギ・銀ウナギの野外性比調査など多角的なアプローチを展開しています。今後も淡水生物学研究所は、国内外の研究機関や漁業関係者と協力しながら、科学的根拠に基づいた資源管理策の提言と実践を目指し、ニホンウナギの資源管理研究をさらに深化させていきます。
本研究は水産庁 水産資源調査 評価推進事業(ウナギユニット)の委託費を受けたものです。
長野大学淡水生物学研究所 ifb@nagano.ac.jp TEL: 0268-22-0594 FAX: 0268-22-0544 箱山 洋
第4回ウナギ科学会議が、2025年6月16日(月)および6月17日(火)に日本・浜松で開催されました。この国際会議は日本が主催し、日本、中国、韓国、台湾からの研究者や政府関係者が集まり、ウナギ資源の持続的管理について議論しました。淡水生物学研究所(IFB)の箱山 洋教授およびHuỳnh Quang Thiện研究員は、会議で3つの研究発表を行いました。また、他の参加国・地域の研究者による発表も行われました。
さらに、ニュージーランド水大気研究所(NIWA)のShannan Crow博士(招待講演者)は、「ニュージーランドの水力発電所におけるウナギの加入パターン」についての特別講演を行いました。
この科学者会合は、「ウナギの国際的資源保護・管理に係る非公式協議」(非公式協議)を背景に、ウナギ類の持続的な利用に関する科学的な助言等を行うことを目的としています。
2025年6月6日(金)、静岡県浜松市の都田川河口で黄ウナギの採集調査を行いました。調査には淡水生物学研究所から児玉 建研究員、Huỳnh Quang Thiện研究員が同行し、静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場の研究員らと共同での調査です。
この調査は、野外の黄ウナギ集団の体サイズや性比などの形態・生態学的情報、またDNAやRNAなどの遺伝学的情報を収集する目的で、静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場によって継続的に実施されています。特に、近年新たに考案されたRNA解析に基づくウナギの性判別法の実用化に向けて、今後IFBにおいてデータの解析を行う予定です。
2025年6月5日(木)、高橋一秋先生の1年生ゼミの一環として、環境ツーリズム学部一年生16名が淡水生物学研究所を訪れ、地域の自然や課題、淡水生物学研究所の取り組み、千曲川の分断化などの研究について学びました。また、施設の見学も行いました: 写真は魚の鱗を拡大して年輪から年齢査定を行う万能投影機を解説しているところです。淡水生物学研究所では、今後も様々な教育への貢献を進めていきます。