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[長野大学プレスリリース] ニホンウナギの個体群動態に関する研究論文が出版されました

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ニホンウナギの蒲焼は、蒸し暑い夏のスタミナ食として、土用の丑の日を中心に食べられて来ました。しかし、近年、天然のうなぎや養殖のうなぎが少なくなったため、日本のうなぎ料理の値段はかなり高くなっています。実際、1970年代に約3,000トンあった日本のウナギの漁獲量は、2021年にはわずか11.1トンとなりました(図1)。このパターンは、ニホンウナギ全体の個体数が大きく減少していることを示しています。実際、ニホンウナギは現在、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されています。長野大学淡水生物学研究所の研究者は、水産研究・教育機構と共同で、ニホンウナギの過去の個体数の推移を明らかにするためにゲノム解析を行ってきました。ニホンウナギの過去の個体数の変化を調べることで、現在の個体数の動態をよりよく理解することができます。この研究成果が、国際学術誌「Aquatic Conservation: Marine and Freshwater Ecosystems」に掲載されました。

本研究の結果、ニホンウナギは鮮新世(100-400万年前)に個体数が減少し、1Maから約22-30kyaまで順調に個体数が増加し、その間に個体数が急激に減少する「ボトルネック」が発生したことが示唆されました(図2)。これは、河川環境の変化や海面・海流の変化により、ニホンウナギの自然な繁殖プロセス(幼生の漂流や成魚の移動)が制限されたことが原因であると考えられます。ニホンウナギが経験した個体数の減少は、現在の全体的な遺伝的多様性の低さにつながっている可能性があり、将来の個体数減少に対してより敏感な種になっている可能性があります。将来の気候変動とニホンウナギの継続的な捕獲は、漁業管理機関にとって懸念材料です。ニホンウナギの将来の個体群動態をよりよく理解するために、本研究で得られたデータを絶滅リスクのモデルに組み込む予定です。

この成果は、2022年4月に開催された「第1回ニホンウナギ等に関する科学者会合」で発表されました。この会議は日本が主催し、ニホンウナギの全範囲国家(中国、韓国、台湾)の代表者と、ヨーロッパウナギの管理経験を持つ専門家が参加しました。会議の目的は、科学的知識を共有し、ニホンウナギの管理のための助言を提供することです。長野大学淡水生物学研究所の研究者らは、ニホンウナギの個体数の監視を継続し、保守的な漁獲制限を実施する必要性を強調しました。また、ニホンウナギの独特な回遊を促進する生息地と環境条件を維持することが重要であると指摘しました。今後、ニホンウナギの分布域全域の科学者が協力することで、ニホンウナギの長期的な持続可能な管理が可能になると期待されています。

図1:日本におけるシラスウナギ採捕量の減少 図2:ニホンウナギの有効集団サイズNeの推定

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