[長野大学プレスリリース] 長野大学淡水生物研究所の研究により、湖沼のプラスチック汚染現象の解明に貢献
プラスチック廃棄物の誤処理による汚染は、社会、経済、自然生態系に影響を及ぼす世界的な問題です。淡水域に焦点を当てると、マイクロプラスチックと呼ばれる小さなサイズのプラスチックによる水、堆積物、生物(特に魚)の汚染について、何百もの論文が書かれています。その結果、淡水生態系におけるマイクロプラスチックの広範な拡散と、この人為的汚染物質に対する生物の高い曝露レベルについて述べられています。逆に、マクロプラスチックと呼ばれる大型のプラスチックによる淡水域の汚染については、限られた情報しかありません。マクロプラスチックがいくつかの海洋動物種の生命を脅かすことが知られているにもかかわらず、淡水生物種への影響はほとんど報告されていません。しかし、研究努力は進んでおり、実際、河川におけるマクロプラスチックに関する情報は近年増加しています。湖沼のマクロプラスチックは河川ほど研究されていないため、汚染の強さ、発生源、マクロプラスチックの分布に影響を与える要因、微生物から脊椎動物に至るまで淡水生物への影響や相互作用など、いくつかの重要な情報が欠落しているのです。では、マクロプラスチックは湖沼生態系にどのような脅威を与えているのでしょうか?
長野大学淡水生物学研究所のAlessandra Cera研究員は、ローマ・トレ大学(イタリア)と共同で、淡水湖におけるマクロプラスチックの分布と影響に関する世界的な科学情報をレビューし、現在までに分かっていることの理解を深め、今後の研究活動の方向性を示唆することに成功しました。この研究成果は、このほど国際学術誌「Water」に掲載されました。
その結果、海洋におけるマクロプラスチックの研究が1980年頃から行われていたのに対し、湖沼におけるマクロプラスチックの影響への関心は2012年に始まったばかりであることがわかりました。過去10年間、世界5大陸で21の湖沼が調査され、そのすべてでマクロプラスチックが検出されました。人為的な湖だけでなく、氷河湖、氾濫原湖、地殻変動湖など自然の湖も汚染されています。特に、海岸線堆積物、湖底堆積物、魚の内蔵からマクロプラスチックが調査された。特に、ペットボトル、ショッパー、包装材などの使い捨てプラスチックは、湖に最も多く存在するマクロプラスチックとして認識されており、この特定カテゴリーのプラスチック廃棄物に対する社会の認識を高めることが示唆されました。
結論として、湖沼生態系に対するマクロプラスチックの脅威に関する研究は初期段階にあるため、まだ全体像が把握できていません。しかし、マクロプラスチックが広く湖沼を汚染し、湖沼生態系に脅威を与えている可能性があることは明らかです。長野大学淡水生物学研究所の研究者は、淡水生態系の生物多様性を保全するために、人為的汚染物質の問題解決に貢献することになるでしょう。