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FAOがCITES提案種の評価報告書を公表

IFB

国際連合食糧農業機関(FAO)は、商業的に利用される水産生物をCITES(ワシントン条約)附属書に掲載する提案について評価を行った専門家パネル報告書を公表しました。 この報告書は、2025年7月に開催された専門家会合での科学的・技術的な検討結果をまとめたものです。

報告書の提案No.35は、ウナギ属(Anguilla spp.)の附属書掲載に関する内容であり、淡水生物学研究所の箱山洋教授が専門家パネルの一員としてこの評価に貢献しました。

全文は以下から閲覧できます。 FAO Open Knowledge Repository

FAO 専門家パネルによる提案 35 の評価報告書(仮訳): html

FAO 専門家パネルによる提案 35 の評価報告書(仮訳): pdf

FAO専門家パネルによる提案35の評価報告書: ニホンウナギ(Anguilla japonica)およびアメリカウナギ(Anguilla rostrata)ならびにウナギ属全種(要約の仮訳)

本提案は、ニホンウナギ(A. japonica)およびアメリカウナギ(A. rostrata)を附属書IIの附属書2(a)基準Bに基づき掲載するものです。

また、ワシントン条約第2条第2項(b)に基づき、ウナギ属全種を、生体または加工品において、ウナギ(A. anguilla)または提案種(A. japonicaおよびA. rostrata)のいずれかと類似しているという理由で、ワシントン条約附属書IIに掲載します。

専門家パネルの勧告

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ニホンウナギおよび類似ウナギ類

専門家パネルは、提案35がCITES掲載基準を満たさないと評価します。

この結論は、入手可能な最良の科学的データと技術情報の包括的な評価に基づいています。その結果、ニホンウナギ(A. japonica)および関連種は、中程度の固有生産性、附属書IIの減少幅閾値を超える大きな有効個体群サイズ、そして個体群存続解析(PVA)で示されるように低い絶滅リスクを示しています。さらに、国際取引と本属全体の個体群減少との直接的な関連性が示唆されていますが、証拠によって十分に裏付けられていません。アジア全域にわたる既存の地域的および国家的な管理措置は広範かつ実証的に有効であり、特に東アジアでは、協力的枠組みと実用的な種識別方法によって持続可能な利用と取引の監視が支えられています。

附属書IIへの掲載は、規制の調和という点で一定のメリットをもたらす可能性がありますが、意図しない悪影響(違法取引の増加、市場の歪み、そして成功している管理協力の混乱など)のリスクは甚大です。したがって、専門家パネルは評価結果に中程度から高い信頼を表明し、時期尚早な属全体のリストへの掲載よりも、対象を絞った保全活動と強化された種および地域固有の管理こそが持続可能な保全成果へのより効果的な道筋となることを強調しています。

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