第10回IFBセミナー
演題:水産庁鰻生息環境改善支援事業による石倉増殖礁の設置と効果検証
講師:望岡典隆
所属:九州大学特任教授
日時:2025年9月30日13:30–15:00
場所:長野県上田市小牧1088淡水生物学研究所会議室
オンライン配信あり
登録URL:https://forms.gle/eD7r9CvGKEj39HDr7
要旨:ニホンウナギは2013年に環境省によって絶滅危惧IB類に区分された。これをうけて、水産庁は2016年~2023年に実施した鰻生息環境改善支援事業により、岩手県から鹿児島県に至る19府県40河川2湖沼86箇所に石倉増殖礁(石倉カゴ)を設置した。本事業は予防原則に基づいて実施され、効果検証は主に九州大学が担当した。鹿児島県水産技術開発センターの実験池8面を使用し、石倉カゴは鳥からの被害を軽減することを明らかにした。さらに、福岡県福津市西郷川の汽水域に石のサイズ(長径10,20,30 cm)を変えた石倉カゴ6基を設置し、黄ウナギには長径10 cm,銀ウナギには長径20 cmが適していること、加えて、石倉カゴを高頻度で利用している個体は低頻度利用個体に比べて、栄養状態が良好であることを明らかにした。現在は西郷川と鹿児島県荒瀬川の淡水域から河口に至る4箇所に石倉カゴを設置し、銀化変態中個体の保護に有効な設置場所を探索中である。